「フォレストガンプ」2014.6.21 東京グローブ座
演出・上演台本 : G2
出演 : 田口淳之介 前田亜季 大高洋夫 オレノグラフィティ 藤崎卓也 鹿野真央
横山敬 鈴木綜馬 高橋ひとみ 高嶋政宏
フォレストガンプは原作を読んだ事も映画を観た事もありませんでしたが、トム・ハンクスのヒューマンドラマという漠然としたイメージだけはあったので、苦手な話かもなあと最初思っていました。
同じくG2さんと組んだ去年の舞台「NO WORDS, NO TIME」が凄く良かったので、正直こちらの再演の方が良かったなとも。
が!が!...ごめんなさい、とっても良かったです。最後泣いてしまいました私。以下ネタバレありの感想です。
劇中音楽を役者が生で演奏というものすごい試み。ハーモニカ、バイオリン、ギター、ベース、キーボード、パーカッション。
パンフレットによるとG2さんは役者に「楽譜は覚えて下さいね」と伝えたそうですが、確かに楽譜を見ながらだとあそこまで音楽が舞台に溶け込んでいなかったと思います。
生演奏の余韻のまま演技に入ったり、演じながらセットを組んでいく役者の動きも、チョコレートの包み紙を思わせるセットに貼ってある紙も、それをペリッと剥がすと場面が変わっていくところも、舞台を通して一連の流れがあり、その流れが途切れないのが演出の上手さあり、役者の力量だと思いました。
NO WORDS, NO TIMEは台詞がなく全てダンスで表現する舞台でしたが、今回は主演のフォレストが台詞の他にナレーションの役割もしていてほぼしゃべりっぱなし。「演じる」という事を微塵も意識していない、田口君のひたむきなフォレストがただただ良かったです。
キレキレのダンスを踊る人と同じ人とは思えない、長い手足をちょっと持て余したかのような、頭の中(IQが低いので)と体がちぐはぐなフォレストという人を2時間きっちり生きてました。
第一声がとても印象的で。真っ直ぐな声と真っ直ぐな眼差しが。あの一声でフォレストの夢物語のような世界にすんなり入っていけました。
フォレストの目を通したおとぎ話のようでもあるけれど、そこにはベトナム戦争という、もの凄い重い現実もあるわけで。ダン中尉の存在とかバーバとの別れとか。
どんな悲惨な現実もありのままを受け入れ、全てが通り過ぎていくフォレストの中でも、揺るぎないジェニーへの想い。
自由で奔放なジェニーですが、私には、幸せを追い求めつつ、真っ直ぐな生き方が出来ない、いつも違う方を選んでしまう不器用な女の子にも思えました。ジェニーの目にはフォレストはピュアすぎて、そばにいたい気持ちと逃げ出したい気持ちが同居してたのかなと。
「幸せ?」と聞かれて「幸せなのだと思う」と答えたジェニー。リトルフォレストを授かり、幸せのかけらを手に入れたジェニーは、ようやくフォレストとのバランスがとれ、共に生きていく決心がついたのかな。プロポーズの返事はしないまま終わりますが、そんな幸せの予感のする最後が素敵でした。
夜空にとけていくフォレストの語りが本当にしみました。遠い旅の終わりに故郷に帰ってきたかのような懐かしい柔らかい声。ここで涙がダーっと^^;
真横ではありましたが、前から2番目という近い席で観る事が出来ました。立つべき場所に立っている人ってあんなに目がキラキラ輝いているものなんですね。
全ての人にお勧めできる素晴らしい舞台でした。